生徒会へようこそ【MISSION"3"おばあちゃんを捜索せよ!】-5
「イヤーッ!優ちゃん泣いちゃったぁ」
「…優、気持ちは分かる。切ないな。…泣け」
「まぁー、落ち着きたまえよ香住クン」
オッさんがポンポンと背中を叩いてくる。
が、この状況落ち着いてられるか!
「どの口がそんなこと言うんですかぁーっ!僕がこの1ヶ月、ど…っ、どんな…気持ちで…!!」
「まぁまぁ、そんな停学間近香住クンに吉報があるのだがね」
「ぅわぁぁぁ…え?吉報?」
この際、藁をも縋る思いで僕は顔を上げた。
目の前には腕を胸の前で組み、得意げなオッさんの姿。
「小鞠!香住の住所は?」
「はーいっ!下百合町でーっす!」
そう。下百合町…って小鞠さん、何で僕の住所知ってるの!?
「お前が言う家の近くの道路って、上百合町と下百合町を隔てる道路だよな?」
「え…あ、はい。そうです、けど」
「おぉ、オッさんが珍しく冴えている」
「うるっせぇ。俺はいつだってキレキレなんだよ。…あの道路、不便だよなぁ。そんなに広くも無いのに車通りは多くて、しかも横断歩道すらねぇ」
「あ、はい…そうなんですよ…。信号とまでは行かなくても、せめて等間隔に横断歩道でもあればいいんですけど…てか、そんなこと分かり切ってますよ!それが出来ないからこうやって僕は…なっ…嘆いて…」
あぁ、また涙が溢れてきそうだ。
「あー、優ちゃんまた泣くーっ」
「泣き上戸だな」
「だから、そんなお前に吉報なんだってバカ野郎が」
オッさんは口元をニッと上げた。
「あの道路、今週中に横断歩道が掛かるんだと」
…へっ?横断歩道?
唐突すぎて…何が何やら…。
「混乱しているな」
「ちなみに俺たちはこのことも最初から知ってた」
「そだよー!ナベっちが教えてくれたから間違い無いよー!」
渡邊先生が…?
渡邊先生は知ってたの?
「ん?となると、優の約束は無意味ということになるな…」
「ま、そーだな。お前の遅刻は弱みだからなー。生徒会は人員不足なんだよ、勘弁な」
横断歩道があれば、きっとおばあちゃんは一人でも大丈夫。
僕の遅刻も解消。
結局僕は行動してもしなくても、停学にはならなかった…ってこと?
「……渡邊せんせぇぇーーっっ!!」
先生はどこだ!?
お礼を言いに行かなきゃ。