君の瞳に恋してる・V-10
「先生お待たせ」
試着室から海が出てきた。
海が持っている水着を手に取ってレジに向かう。
「えっ?!先生、ビキニ買っていいの?」
「まあイヤですけど仕方ないですよ」
「仕方ない?」
不思議そうにしている海の耳元に口を寄せてつぶやいた。
「海さんのエッチな汁で汚れちゃいましたから」
「!!」
頬をカァーっと赤らめる海。
よく見ると水着にはうっすら白い染みが出来ていた。
「じ、自分で買うよ!!」と言って水着を奪おうとする。
「いいんです。僕のセイですから」
「ちょっと今のヤラシイ!!」
「ハハ…冗談です。買ってあげたいんです。彼女へのプレゼントを…」
「…先生…」夢見るような表情になった。
「いいですか?」
「…ウン。ありがとう」
その後ショッピングを楽しんで、今は海の家に向かって車を走らせている。
〜〜♪♪
海の携帯からメールを知らせる電子音が鳴った。
「あ、メールだ!ん〜と…クラスの子からだよ」
「なんだって?」
「え〜と、『海ちゃん、今日〇〇ショッピングセンターいたよね?遠めだったからよく見えなかったんだけど、一緒にいた大学生風の人、彼氏でしょ?明日詳細教えてね。』だって」
「見られたんですか?!」
「先生、大学生だって!!ヤッタじゃん♪」
「なにがヤッタですか!!見られたんですよ?!」
「気づいてないから大丈夫だよ」
「でもっ…!」
「先生、あたしは覚悟できてるよ」
「え?」
「先生と心中する、覚悟」
「……」
「何が起きても怖くないよ」澄みきった笑みを浮かべた。
「海さん…」
「あと1年半隠せばイイんだもん、大丈夫だよ」それっきり窓の外を見ながら黙った。