唯高帰宅部茜色同好会!(第三章)-20
「…わりぃ、負けちまって」
「…まったく、アッキュって普段は不真面目なくせに、こういうときは真面目なんだから。こっちは最後の最後までハンデがあったのよ?相手のピッチャーはすごかったし」
「……そんなの言い訳にはならない。あっちだってバッテリー以外は穴だらけだったんだ。それにこっちは最後全員本気になったんだぞ」
「……アッキュンも負けず嫌いだからねー」
「はぁ…アッキュ、あたし達、すっごく楽しかったんだよ?負けはしたけど、すっごくすっごく楽しかった。だからあたし達はすごく満足してるの」
マリィの言葉にアイサが頷く。
「ええ、とても楽しかったです」
「アッキュンもキスケもユーリも、すごくかっこよかったよー!」
「…さんきゅ」
「ま、約一名ちょっと目立ち過ぎなのもいたけどね」
「ん…誰のことだ?」
キスケを除いて全員が笑う。
負けはしたが、女性陣はとても満足してくれた。
それに、予想外ではあったが俺達の努力が認められ、最終的にはクラスメイトとも団結できた。
すごく楽しかった。
「みんな、ありがとう。来年は絶対勝って、もっと楽しませてやるからな!」
俺がそう言うと、みんなはニッコリ笑って頷いたのだった。
来年の球技大会が今から楽しみだ。
心の中でそう呟き、ふと窓の外に目をやると、依然、鮮やかな青空が広がっていた。