唯高帰宅部茜色同好会!(第三章)-18
「どっちだ…」
キスケが呟いた瞬間、審判は両手を広げた。
「セーフ!」
「おっしゃあああ!」
ユーリが力強いガッツポーズを見せた。
決していい当たりではなかったが、ユーリは本気で駆け抜けたからこそのヒットだった。
「いけるぜ!アッキュ!」
「頼むぞ!」
「いけー!」
当たり前のようにベンチの全員が声援をくれる。
「っ!!」
その気持ちに、俺はしっかりと応えることができた。
カァン!
振り遅れながら執念で当てた打球は、鋭くライトの横を破っていった。
「うおおおー!」
「いったー!」
「アッキュ!走れ!」
ベンチから歓声が聞こえる。
「はぁっ…はぁっ…」
二塁にたどり着いたとき、ユーリがガッツポーズをしながらベンチに向かっていく姿が見えた。
これで六対五だ。
キスケの一発で一気にサヨナラ勝ちだってできる。
「キスケェー!頼むぞ!」
打席に入るキスケに向けて、俺は力一杯叫んだ。
勝てる。
勝てるぞ。
キィン!
そしてキスケは、またも痛烈な打球を放ったのだった。