恋を知りたい-1
ぼんやりと白い光を暖かく感じて、薄く目を開ける。
見慣れた天井の模様。
視界の端で私の選んだカーテンが揺れる。
思考も視界もぼやけたまま、少しずつ少しずつ日常の記憶が甦る。
ぴた、と唇に触れた。
『俺が転ばしたんだけど、---可愛かったから。』
名も知らない男の子の顔が、すごく近くまで来る。
…きっとあの人は、キス、するつもりだったんだと思う。
なんで?
変だよなぁ、なんだか。
唇と唇をくっつけるなんて、誰が考えたんだろう。
いつか私も、あんなことするのかな?
想いが通じている二人なら普通するものなのだから、私もその時が来るのかもしれない。
もう一度、唇に触れた。
…想像するくらいなら…いいかな?
私は目を閉じて一生懸命思い浮かべる。
いつも隣にいてほしい、瞳の印象的なあの人と、キスすることを。
でも…なんだか上手く思い浮かべられなかった。
私は唇をなぞりながら、今度はその指を、あの綺麗な指に置き換えてみた。
どくん、と胸が高鳴る。
きゅ、と少し苦しくなる。
変だな、触れられることの方が恥ずかしいなんて…。
とん、とん、と唇を叩いて、ついため息が漏れた…。
『ピピピピピ----!』
「うわ、わっ!」
目覚まし時計の音に驚いて、ベッドから転げ落ちてしまった。
思い切り打った背中の痛みに、完全に目を覚ました。
自分の行動にあまりにも恥ずかしくなり、両頬に触れ、顔を包む。
私、何やってるんだろ…。