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恋なんて知らない
【初恋 恋愛小説】

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恋を知りたい-2

***


毎週の数学の小テスト。

私の企みも恒例になっている。

導き出した解答に不必要な3を足して回答欄に記入した。

ほんの10問のテストを終えて、手持ち無沙汰になった指で前髪をくるくると丸めた。

…ふと、用紙の下にぽっかりと空いたスペースに悪戯心を覚えた。


"問11 先生の好きなタイプはどんな人ですか?"


余白に丁寧な字で書き記すと同時に、先生が終了の合図をし、テスト用紙が回収された。

私はちらりと先生を見てから、クラスメートの真似をしてわざとらしく体をのばした。



次の日のテスト返却時、私は場違いな期待感を持ちながら、自分の名前が呼ばれるのを待った。


わくわく。

わくわく。


「畑本。」

「あ、はい。」


テストを返されるとき、じろりと睨まれて、なんだか嬉しくなる。

そっと開くと、下の空白に先生の赤ペンの字。


"テスト用紙に落書きはしないこと"


私はテストの脇から、やる気のない表情で軽く首を回しつつクラスメートに答案を返す先生を、片方の目で覗き見た。

やっぱり、だなぁ。

ちょっと残念だけど、先生が答えてくれなくて、どこかほっとしてる。

だって…きっと私には当て嵌まらないから。


私はもう一度、こっそり先生を見つめた。


先生、なんで額にキスしたんですか?


背中に尋ねて、何気なく前髪を撫でた。


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