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恋なんて知らない
【初恋 恋愛小説】

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恋を知りたい-3

***



放課後---


「おい」

席を立って荷物をまとめた姿勢のまま、ぼうっとしていると、突然声をかけられた。

「え、こんにちは…あっ。」

いつの間にか目の前にいた人に反射的に挨拶をして、つい口を丸く開けてしまった。


『本当に高橋先生のこと、好きなんだ?』


この間の------


「こんにちは、畑本さん。」

「なんで…名前知ってるの?」

「学生の名前なんて、知りたければ調べるまでもなく分かるから。」

自慢気に言った。

「はぁ、そうなん、」

「俺、竹田俊哉。
詩織ならトシちゃんって呼んでもいいけど?」

彼は言葉を遮り、身を乗り出す。

机を挟んで、顔の距離が近づく。
つい上半身を反らせて後ずさった。

「た、けだ君…なんで呼び捨て、なの?」

「や、その困惑した顔が可愛いんだよなー。
チューしていい?」

「え、いやです。」

「うわっ!傷つくー。」

竹田君は何か物が当たったみたいに胸を押さえて、大袈裟によろけた。

大丈夫ですか、と声をかけそうになってしまう。

「だ、だって…」

「…『先生じゃなくちゃ、いやだ』?」

「えっ…?」

私が顔を上げると、竹田君が冷たい瞳で笑った。

「詩織って、ほんと高橋が好きなんだな。」

「………。」

なんだかその視線に耐えられなくて、私は黙って目を逸らした。


"教師相手に本気になってる"


その瞳が、そう言ってる気がした。


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