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Crimson in the Darkness
【ファンタジー 恋愛小説】

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Crimson in the Darkness -出遭-T-1

 ―――『今日はもう帰っていただいて良いです』





 あの本国から来たエクソシストにそう言われて、今日は珍しく日付が変わる前に家に帰った。恐らく、今日の悪魔祓いはあの二人がするってコトだろう。シエルも帰宅許可が出ていたし。



 ほんのりと黄色味掛かった月を見上げて、息を吐いた。





「本国、か」





 オレがこの国に来たのは16になって間もない頃。本国にはそれまでの16年間住んでいたけど、良い思い出なんてモンはあんまりない。



 あそこでは、“カミサマ”は絶対的なモノ。それに敵対する“悪魔”は絶対的に悪。ソレを祓うエクソシストは正義の味方―――なんてことは有り得なかった。



 エクソシストは教会内では一番地位が低い。不浄である“悪魔”ともっとも位置的に近い場所に居るからだ。悪魔祓いをした後は、教会で清めてもらうまで、人に触れること、話すことが禁じられている。当然、家に入るなんて論外だ。オレが住んでいた町の連中も仕事から帰ってくるときに擦れ違いそうになると、全員避けやがる。命掛けて仕事して、そんな扱いを受けるのは少なからず不満ではあった。



 ――聖職者の中で最も不浄な者。それがエクソシスト。





「やっぱキライだな」





 帰りたいとも思わない。こっちの方が自由気ままでやりやすい。仕事の時間以外は教会に縛られることもないし、干渉もされない。だから、居心地が良い。



 そんなところにアイツを連れて行くのか。いくら、リーがエクソシストじゃなくても、悪魔の一派であるヴァンパイアに狙われているとなれば、ちゃんとした扱いを受けれるのか? 守ってもらえるかもしれないけど。





「オレが言えた義理じゃない……か」





 咥えたままだったタバコからポロッと灰が落ちた。


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