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〈価値観〉
【鬼畜 官能小説】

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〈価値観〉-13

『………』


一人、教室で座っていた。
自分の一つ斜め前の机と椅子。そこには、もうあの女は座る事は無い……昨夜の体験を思いだしながら、じっとその机を見つめていると、クラスの女生徒が入ってきた。


「トミ、昨日から居なくなったんだって?」

「え〜?それって、彼氏んトコ泊まりに行ってるだけじゃない?」


もう富代の失踪が知られていると云うことは、昨夜は大騒ぎになっていたのだろう。
あの小屋に居ては、それこそ知る由も無いのだが……。


次々と教室に入ってくる生徒達は、口々に富代の事を話していた……騒然とした教室に、神妙な面持ちをした退職間近の男の担任教師が入り、教壇へ立った。
いつもなら、注意を受けるまで騒ぐ生徒達も、今日はおとなしく席に着き、教師の言葉を静かに待った。


「え…と、知っている人もいると思うが、鎌田さんが、昨夜から行方不明になって……」


静まり返った教室に、数名の啜り泣きが聞こえ始めた。
いつも富代と遊んでいた、仲良しの女友達だった。


「高橋、伊東、泣くな。すぐに見つかるから…大丈夫だから、な」


その言葉に、他の女生徒達も泣き始め、教室は嗚咽に包まれた。
男子生徒達も、沈痛な表情で俯いていた。
修二もそれを真似、俯いて見せた。


(ククク……ざまあみろ!!泣く程心配か?悲しいか?…俺がやったんだぜ!!)


ハンカチで顔を覆い、情けなく泣きじゃくる女生徒達を横目で眺め、修二は心の中で叫んだ。
一番生意気でムカつく女、そいつと何時も一緒になって、自分を蔑む女達が泣きじゃくる様は、修二の心を晴れやかにした。


(クククク……俺を怒らせると、こうなるんだ!!……次はオマエか?それともオマエか……?)


口元を歪め、チラチラと女生徒達を見つめる……自分の仕出かした事の重大さと、自らの異常な力の誇示を履き違え、一人で愉悦を感じていた。

今日もまた、自分の妄想に浸り、授業など上の空で、そして昼休みになった。


珍しく、修二は教室から飛び出し、校舎の中を散策した。
理由は一つ、富代の失踪事件が、どこまで広がっているかを確認したいからだ。


「聞いたか?小森(孝太郎)先輩の彼女、行方不明だとよ」

「マジ?今頃マワされてんじゃね?『イヤ〜、やめて〜』とか言いながら、中出しされてっかも」


校舎の中を歩くだけで、修二の気分を良くする“情報”は、勝手に耳へ飛び込んでくる。


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