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唯高帰宅部茜色同好会!
【青春 恋愛小説】

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唯高帰宅部茜色同好会!(第二章)-1

「サキ、五巻がないんだけど」
「えー?あ!友達に貸したままかも…」
「うそだろ!?いいとこだったんだぞ!?」
「しょーがないでしょ…」
そう言いながら、幼なじみであり茜色メンバーのサキはベッドの上で寝返りを打った。

「いやさ、最近は少女漫画がドラマ化したり映画化したりしてるじゃん?だから気になってわざわざお前んちに偵察に来てるのに、面白くなってきたとこで途中がないとか困るんだけど」
俺がそう言うと、サキはむくりと起き上がった。
「偵察とかよくわかんないけどさ、いつもアッキュンは暇さえあればうちに転がり込んでると思うんだけどー」
「……アッキュン言うな」
「いいじゃん別にーアッキュンはアッキュンだよ」

俺の呼び名はアキラ、アックン、アッキュと短い間にこう様変わりしていった。

今ではアッキュで定着しているが、断固としてサキだけはずっとアッキュンと呼び続けている。
だがアッキュンと呼ばれたことは、サキを除くと一度もない。
つまり、サキだけがアッキュンという自分だけの呼び名を持っているのだ。

俺としてはアッキュンというのは可愛らしくて気に入らない。

なぜサキはこの呼び名にこだわるのだろうか。
たまに気になるときがある。


「アッキュン、まだいるの?」
「いいだろ、別の読むから。いいか、絶対に五巻返してもらえよ?」
「返してもらったら、また来るんでしょー?あたしも自分の時間がほしいんだけど」
「…じゃあ帰る、もう来ない」
「え!?あ…やっぱり来ていい」
ちょっと冷たい態度をとると、すぐさましゅんとするサキ。
「……うそだよ、サキごめんな」
俺は言い過ぎたとサキの頭をがしがしと強く撫でた。
「うん!」

これが、休日の俺とサキの日常。


俺とサキは幼なじみ。

ただ家が向かいだからっていうだけ。

だと思う。


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