唯高帰宅部茜色同好会!(第二章)-9
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意外とこういうときって、うまく男女が割れるもんなんだな。
青だった俺は、サキとペアに。
赤はユーリとアイサ、緑はキスケとマリィとなった。
「……」
「……」
「……キスケだなんて」
「なんだよ!俺じゃわりーかよ!」
まあ、とりあえずよかった。
マリィだとすんごい振り回されるだろうし、アイサはさっきのこともあったからな。
あ、一応アイサに頼んでおくか。
「アイサ」
小声でアイサに声をかけた。
「なっ…なんでしょうか」
あら、まだ動揺していらっしゃる。
「マリィはアホだからすっかり忘れてるみたいだけどな、出来ればこの間のユーリ告白阻止のような感じで人目を避けてほしい」
「…確かに他の生徒もいますし、ユーリに噂が立ってしまいますね」
「ああ、アイサと付き合っているなんて噂になったらアイサも大変になるからな」
「っ!それは困ります!」
突然、アイサが声を荒げた。
珍しいな。あれ、もしかしてユーリが苦手か?普段そんな雰囲気はないんだが…
「…ま、まぁよろしく頼む」
「……はい」
「じゃあ、一旦出口で待ち合わせてからバスに乗るようにしましょ」
「はいよー」
「はーい」
ああ、マリィもユーリのことを全く考えてないわけじゃないのか。
確かにバスの停留所に二人で現れたら全校生徒に気付かれるわな。
ただわかってるくせにそこまでしてデート体験がしたかったのか?
女心はよくわからん…
うーん、と頭の中でいろいろと考えていると、サキが俺の制服の袖を引っ張った。
「…どうした、サキ」
「ほらアッキュン、行こうよ」
「え」
いつの間にか、皆既に別れて移動してしまっていた。
「ねー、どこか行きたいところあるー?」
そうか、俺はサキとペアだよな。
ただ、土日はよくサキの部屋に暇つぶしに行ってるから、二人きりになってもデートって感じはしない。
「特にない、サキは?」
「えーアッキュンつまんないー!せっかくのデートなのにぃー!」
こいつはそう感じていたか。
「デート体験、だろ」
「いいの!じゃああれに乗ろー、バッシャーンってなるやつ」
サキが指を指した先には下がプールになっているジェットコースターがあった。
「制服姿でずぶ濡れになってどうすんだ」
「……あ、期間限定でプラネタリウムやってるんだって!」
サキが指を指した先には大きな看板、太い字でプラネタリウムと書いてある。
「いいけど俺は絶対寝てしまうぞ」
「アッキュン大っ嫌い」
「おいサキ、待てって」
俺はいつも、サキの前だけはわがまま言えるんだよな。
ちょっと言い過ぎかもしれないが。