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HappyBirthday〜金峰学園生徒会黙示録其の1〜
【学園物 恋愛小説】

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HappyBirthday〜金峰学園生徒会黙示録其の1〜-2

                 *

「それで、何で先輩が泣くような事になったんですか?」
冬香ちゃんが首を傾げながら尋ねた。小春の方はというと………
「………………」
黙ったままだった。話すのがつらいのだろうか。
「話したくなかったら話さなくてもいいけど、あたしらも、できるだけ力になりたいんだよ。だから、その…えっと…」
夏樹が口を噤んだとき、千秋さんがこう言った。
「あのね、ハルちゃん。こういうつらい事とかって、誰かに話しちゃったほうが、かえって楽になるものなの。だから、ちょっとでも話したほうが…ね?」
そう言って、千秋さんが俺のほうを振り向いた。俺は、小春に声をかけようとした。その時。小春が、自ら口を開いて、かすれた声で、ぽつり、ぽつりと話し始めた。
「あたしが、15歳になる前の日の事だったんだ……」
俺たちは、息を呑んで小春の話に耳を傾けた。
                
                  

                 *
 
その日、学校から帰ると母さんも妹も家を留守にしていて、とても暇だった。
あたしはテレビでも見ようと思って、リビングに行ったんだ。
テレビをつけようとしたとき、ビデオデッキの中に、古い、VHSのテープを見つけて、あたしは、興味本位でそれを再生した。
テープには「No.1」と書いてあったから、この後にも何巻かあるらしかった。
 テープが再生されると、画面に若いころの母さんの姿が映って、それから、ビデオカメラが謎の男に向けられた。
「あ、もう映った? イェーイ、イェーイ!」
 そういいながら、画面の中ではしゃいでいる男。
あたしは、その人を見たことは無かったけれど、何となく分かっていた。

 「これって、…………父さん?」

あたしは、父さんの顔を知らなかった。
というのも、父さんは、母さんがあたしを身ごもってすぐに家を出て行った、と聞かされていたからだ。
母さんはすぐに再婚して妹、瑠美を身ごもったが、その人もすぐに家を出て行ったという。
母さんは、どうも男運が悪かったらしい。

 しばらく見ていると、これは友達同士で撮った物なんだろうという事が分かってきた。
そのテープに映っていたのは、若いころの母と、ハルと呼ばれる女性、そして、ケントと呼ばれる男―――後の、あたしの父さんであろう人だった。
きっとこの中で三角関係に悩んだ末、母さんとケントさんは結婚したんだろう。
そう思ったとき―――――

 「ただいまぁー。あー、疲れた。小春、肩揉んで。」

唐突に、母さんが帰ってきた。そしてテレビの画面を見るなり、「どこまで見たの!?」と言ってきた。母さんは巻数を確認してから嘆息して、あたしを黙って部屋から追い出した。

―――――どこまで見たの!?

あの先に、何か見てはいけないものでもあるのだろうか。
あたしは、その後ずっと、複雑に思っていた。
 次の日、あたしは母さんが仕事から戻っていないのを確認して、ビデオラックを覗いた。
だけど、あのテープとその続きのものは忽然と姿を消していた。
仕方ないか……と思って立ち去ろうとしたとき、テーブルの上にアルバムが載っているのに気が付いた。
 だけど、そこにもやっぱり、テープが撮られたのと同じ年代の写真は見つからなかった。
もう、これ以上探しても無駄か……と思ったとき。
何枚か残っていた写真の一枚が何か矛盾しているのに気が付いて、慌てて写真を確認した。
そこには……


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