生徒会へようこそ【MISSION'2'ハムをスターにせよ!】-7
そして翌日、午前5時58分。
ハムさんは来なかった。
腕を組んで校門を見つめる宝さんは、話しかけるのも躊躇うほどイライラしている。
「2分あるしきっと来てくれるよね」
僕の希望溢れる言葉に宝さんは返事をしなかった。
またもや居たたまれない空気が流れる。
もう誰でもいいからこの空気を何とかしてください。
永遠に続く地獄とも思えた一分を過ごした時、校門にのそりと巨体が現れた。
「たっ、宝さん!」
「貴様っ!寿絵瑠を何分待たせるつもりだ!!」
ぇえ!?
間に合ったのにそんな感じなの?
しかし、ハムさんは従順にも僕らの所までドテドテと小走りでやってきた。
「…ごめん」
たったこれだけの距離を走っただけで、ハムさんは軽く息切れをしていた。
相当なんだ。
「ふん、まぁ良い。とりあえず貴様が来たことが寿絵瑠は嬉しいぞ。さっそく始めよう」
僕にはニッコリ笑った宝さんを怖ろしく感じた。
その日の放課後の第4多目的室で僕は筋肉痛に襲われていた。
それを指差してオッさんが笑う。
「そんな笑わないでくださいよ〜…」
「ギャハハハハ!あんなんじゃあどっちの特訓か分からねぇよなあっ!」
そこは言わないで欲しいところだ。
ハムさんが途中で動けなくなった程の宝さんのスパルタに、最後まで付き合ったんだ。
何で僕が、グラウンド10周やら走り込み100本やらやってたんだ?
「も〜お、オッ君そんな笑わないのぉ。細井先輩を説得出来ただけでもすごいんだから。ね、キミちゃん!」
「…続くか分からないけどな」
小鞠さんのフォローを、眼鏡を直しながらキミさんが粉々に砕いた。
「そんなぁキミさん…」
「それはありません!寿絵瑠は約束したのです!優も見ていたよな」
「え、まぁ…」
ごめんね、宝さん。はっきりとは頷けないよ…。
動けなくなったハムさんを見下して「また来週も来い、さもなくば…」とか言うのは約束じゃなく脅しだよ。