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『溺れる魚』
【その他 官能小説】

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『溺れる魚』-4

第四章〜小さな勇気〜

もう諦めて部屋に行こうかな…馨は敬の大学の前で待ち伏せをしていた。
最近、メールや電話が妙に優しい…女のカンというか、不審を覚えた馨はいてもたってもいられずに敬に連絡をしないで来たのだった。
『なあ京、本屋寄ってくんだろ?』
間違いない、彼の声だ…男2人、女3人のグループの中に敬はいた。
『敬ー!!』
ありったけの大声で叫び、馨は敬に駆け寄る。
敬の友達と思われる人達が振り返り、敬と私の顔を交互に見やる。
『な、何で?馨、仕事は?』
どこか慌てたような敬の様子、視線が一瞬、横にいる赤茶色のロングヘアの女に走る。
『ほら、敬。行ってあげなよ』
その女が敬の背中をこちらに押しやる。
『何?何?敬の彼女?可愛いじゃん』
軽薄そうな男が馨に話し掛けてくる。
『京!お前はいいから!』
敬の語気が荒くなる。
『怖っ!やだな、ヤキモチ?』
おどけた口調で京と呼ばれたその男がなおも言う。
『俺、帰るわ。馨、行くぞ!』
敬がさっさと前を歩いていく。馨は小走りに敬を追いかけると、敬の腕に自分の腕を絡めた。
『いきなり来るから驚いたぜ』
敬はまだどこか落ち着きない。
『迷惑だった?』
馨は敬を見上げて尋ねる。
『そういう訳じゃないけど、連絡ぐらいしろって。いなかったらどうするつもりだったんだ?』
やっといつもの調子で敬が言う。
『ごめんね、急に逢いたくなって仕事休んで来ちゃった』
馨がはにかみながら言うと、敬は優しい笑顔を向けた。
『今夜は泊まっていくんだろ?』
『うん!』馨も敬にありったけの笑顔で答えた。
そして、夜――
敬の部屋に女の匂いはない。抱き寄せる腕にも変わりはない。
『好きだよ、馨』
敬の唇が馨の唇を塞ぎ、敬の手は馨の背を臀部を滑っていく。いつも通りの愛撫なのになんだか落ち着かない気がする馨。
そんな馨の様子に気付かず、敬は舌をチロチロと馨の顎から喉、そして乳房に這わせる。
『あっあん!敬…』
チュパチュパと敬は馨の乳首に吸い付き、ゆっくりと敬の手が馨の股の間に滑り込んでいく。
『ああ…はあはあ…』
『すごい濡れているよ。ほらクチュクチュいってる…』
『いやあ、恥ずかしいこと言わないで』
そう言いながらも馨は自然に足を開き、敬の指を受け入れる。
『敬…敬のが欲しいよ…』
切なげな声で馨はねだる。
『馨、挿れるぞ』
敬が馨の中に入る。グチュグチュと結合した部分が卑猥な音を立てて混じり合った粘液を垂らす。
繰り返し激しく敬に突かれ、馨は敬の背中にしがみつき爪を立てる。
やがて、どちらからともなく
『ああっはああ…もうダメぇ』
『イ、イク…』
二人の絶頂の声が重なり、馨が大きく仰け反った瞬間、馨の中が敬の白濁液で満たされる。
そのまま、敬は眠りに落ちた。馨が敬に抱きついたままうとうとしかけた時、
『め…めくみぃ…』
敬の口から零れた名前に馨の胸は轟く。もしかしてあの女(ひと)と……赤茶色のロングヘアの女を脳裏に描きながら、馨はそっとベットを抜け出し敬の携帯をチェックすると、恵なる女を呼び出した。


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