唯高帰宅部茜色同好会!(第一章)-8
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「じゃあ明日」
「おー」
「バイビー…」
徒歩組の俺達と違い、ユーリはバス通学のため、帰り道は反対方向になる。
夕日が沈むと同時に、俺たちはいつも解散している。
今日もそのはずだったが、なんか女性陣は話があるらしいので部室に残った。
なんの話かは気になったが、女性ならではの話もあるのだろうと特に気にはしなかった。
「……で、お前は何をメソメソしてんの」
「いや…だって…あんなあっさり…」
「バカかお前は。第一、ユーリに告白させないためのキスケ指名だったのに意味のわからないこと言いやがって」
「悔しい!彼のこと好きだったのにって痛ぇ!グーで殴るなよ痛っ!張り手すんなよ!」
***
「マリィ、どうして女性陣だけ居残りなのですか?」
「そうだよ…アッキュンたちといつもみたいに帰りたかったのに」
「そう言わない!帰りはうちの車で送ってあげるから」
サキ、マリィ、アイサの三人は、薄暗くなりかけてきた部室で机を囲んでいた。
「で、なんで残ってるかっていうと、ユーリのことよ」
「…はあ、今日の罰ゲームのことですか?」
「そう、ユーリは茜色に出るためになにか考えておくって言ったわよね?サキ?」
「へ?あ、うん…」
「あたしが思うに、ユーリが思いつくことってひとつしかないと思うの。なんだと思う?」
「えー…勿体ぶらないでおしえてよマリィ」
サキは足をじたばたさせた。
するとマリィは咳払いをして言った。
「…そう、告白して尚且つ茜色に出るためには、あたし達の中の誰かを選ぶしかないのよ」
マリィはニヤリと笑う。
「ええっ!!」
「話はわかりましたが、なぜ残って作戦会議なのですか?」
「だからちょっとだけ予想も兼ねて恋バナでもしようってこと」
「…」
「…」
「うーん、人選を間違えてるのかしら…まあいいわ、二人は誰に告白すると思う?」
「マリィですが」
「マリィ」
二人は共に即答した。
「な…なんで?」
「マリィはユーリと同じで才色兼備ですから」
「うん、隣に立って違和感が一番ないのがマリィ」
「……なんかあたしがそう言わせてるみたいになってるわね…ちなみにあたしはアイサだと思うけど?サキにはアッキュがいるわけだし」
「……そうでしょうか」
「ってえええ!!アッキュンって!?何が!?」
アイサは首を傾げ、サキは顔を真っ赤にして騒ぎだした。