唯高帰宅部茜色同好会!(第一章)-5
正直、カードゲームのほとんどは最初に配られた手札で勝負が決まると思う。
ましてや大富豪など、最初の手札が強ければそれでもう勝利は確信できるゲームだ。
「…よし、見ていいぜ」
全員が手札を受け取って確認したところで、円になっている仲間達の表情を伺う。
あ、一人明らかに死にたそうな顔をしているやつがいる。
マリィだった。
言い出しっぺが負けるなんて面白いじゃないか。
かく言う俺は、弱いカードも若干あるが、強めのカードが大半だった。
俺はどうやら大丈夫かな。
***
「上がりだ」
「アッキュが一抜けかよ!」
「アッキュンつまんないよー」
「うっせ、あとアッキュン言うな」
ゲームはえらくスピーディーに進んでいた。
六人もいれば手札も少ないし、ウノのように手札が増えることもないからだ。
まあ俺はさっさと抜けたので高みの見物といこうか。
「ぷっ」
「何笑ってるのよ!」
マリィは依然、手札が全く減っていない。
余程ひどい手札なのだろう。
「…ん?」
もう一人、サキも手札を大量に抱えていた。
どうやらマリィだけが負債を背負わされているわけではないようだ。
ユーリとアイサは共に三枚ずつといったところか。
「よし、上がりだぜぃっ!」
キスケが最後の1枚を机に叩きつけた。
猿の舞台芸みたいな動きはやめろ。
そのキスケの出した数字より強い数字を持っているやつはいないのか、そのまま流れて順番はサキに回った。
「き…きた…きちゃった…」
「サキ、何言ってるんだ?」
「じゃわ…じゃわ…」
「おいキスケ、それは言ったらだめだ。ってかなんか違うし」
「革命ですっ!」
サキの言葉が、そのとき世界情勢を動かした。
出されたカードはジャックが四枚。
これより世界は、弱者を中心に動き出す!
ついキスケの影響か変な表現をしてしまった。
ともかく、革命により数字による強さが逆転してしまった。
なるほど、同じカードが四枚だったからサキはカードを溜めてしまったんだな。