唯高帰宅部茜色同好会!(第一章)-12
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「よし、揃ったな」
ユーリを除く、五人が部室のベランダに揃う。
「奇しくもユーリは今日、日直だからプリントを整理して職員室に持っていったり、掃除チェックをしたりと仕事が多い。まだ時間はある。まず作戦を考えたやつは言ってくれ」
俺がそう言うと、アイサが真っ先に手を挙げた。
「はい、アイサ」
「授業に集中してしまい、考えられませんでした」
「予想してました。はい次、サキ」
「えっと…ユーリの行く先々に罠をしかけて行く手を阻む!」
「はい次、マリィ」
「須藤先輩を拉致」
「アホか!じゃあ期待はしないがキスケ。あ、奇跡的に面白いと思ってもくすりとも笑わないからな」
「流石はアッキュ!容赦ないぜ!」
キスケはグッと親指を突き立てた。
うーむ、やっぱりこいつらに期待するのは酷だったか。
「あれ?あたしスルーされた?」
「どんまいサキ」
マリィがサキの肩に手を置く。
「こうなるとアッキュはこれだからな」
「うるせー!じゃあ俺の案な。まず、ユーリは手紙の差出人名を書いていない。これはでかい」
「ふむ」
「つまり須藤先輩は誰から告白されるかわかってない。だからうまくユーリを足止めしつつ、告白をさせないようにする」
「あれ?ユーリに罠を仕掛けるってことじゃない?あたし正解?」
「…サキと意見が一致すると思わなかった。先に言われると格好がつかない。だからスルーだわかったか」
「アッキュン、可愛い」
そう言ってへらへらとサキが笑った。
「なに言ってんだお前は!」
「……」
「じゃあグループを分ける。キスケとアイサ、二人はユーリの妨害だ。途中で偶然出会ったことにして足止めしたり、とにかく告白させないようにしてくれ」
「はあ…難しい指示ですね」
「まかせろ!」
「勘違いするなよ、お前が心配だからアイサと組ませるんだからな」
「……へい」
「サキ、お前には重要な任務を任せる、須藤先輩の方の監視だ。まず須藤先輩の居場所を見つけなきゃいけないが、待ち合わせ場所に向かうだろうからその場所を伝えてくれ」
「うーん…難しそうだね」
「サキにしかできない、信じてるぞ」
「信じてる…うん!頑張る!」
「最後に俺とマリィで本部役をする。俺はサキの方に、マリィはキスケの方に指示を飛ばす」
「おっけー」
「それぞれ携帯はすぐにとれるようにしておいてくれ。こんなことになってしまったが、茜色とユーリのために頑張るぞ!」
「ラジャー!」
みんなノリノリだった。
結局、こういうのが好きなんだよな、俺達。
こうしてミッションは始まった。