Crimson in the Darkness -権與-V-4
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目を閉じてるはずなのに、外の眩しさが解かる。
――――あ?
「!? 何でっ 生きてんだ!?」
無意識に起き上がると違和感を感じた。―――身体が軽い。
手で触れてみるも、穴の開いてた筈の脇腹には何の痛みもない。それどころか、傷一つない。自分の身に起きたことが解からなくて、困惑している頭をフル回転させるが答えなんざ出やしねぇ。
「アーク」
声のした方に視線を向けると、シエルが相変わらずの笑顔で立ってやがった。
「シエル。どういうことだ? あいつは……リーはどうしたっ?」
部屋の中を見渡しても姿が見えない。ここにいない。どっかに逃げたのか? それとも……捕まった?
あり得ねえ。へんなこと考えたから心臓が痛いくらい締め付けられた。
「順を追って話すから。取りあえず落ち着いて」
落ち着く? 何をどうやって? 今、知りたいのはリーの事だけだ。
「リーはどうした?」
ベッドから降りてシエルの元に歩み寄る。すると徐々にシエルの顔が青ざめていく。
「そんな睨まなくても……リーちゃんは隣の部屋に居るよ。…………ちょっ アーク!」
漸く聞けた言葉に反応するように、オレは自分がいた部屋から飛び出していた。シエルの制止すら耳に届かずに。
運が良いのか角部屋だったから、“隣”がどっちなのか直ぐに解った。