Crimson in the Darkness -権與-U-1
「おい、リー」
「なに?」
朝っぱらに帰ってきて、メシ食って、シャワー浴びて、寝ようとしたらリーが起きてきた。放っておいて寝ようかとも思ったけど、あの爺さんの言ってたことも気になってたわけで。寝る前に少し話しかけてみた訳だ。
別に変わった様子も無く、リーはのんびりとした声で返事した。
「お前、なんで一人なんだ?」
「え?」
青い瞳が真ん丸く見開き、僅かだが、声が掠れてた。
「東の果ての島国で、異国人のお前が一人で迷子ってのはどう考えてもオカシイだろうが」
「………………迷子じゃない」
そう言って視線が逸れた。
「じゃあ、どうやって一人で来たんだ?」
「………………」
ダンマリか。まあ、そうなるわな。
「これからどうするつもりなのか、話聞かなきゃ解かんねえだろうが。こっちにも都合があるし、保護者探さなきゃ本国帰るのも子供一人じゃ無理だろ」
「…………別に帰るトコなんて無いし」
何だ、それ?
「は? お前、『出て行く』って言ってただろ? 当ても無いのにどうする気で……」
ガキが当てもなく旅出来るほど、世の中甘くねえぞ。どっかでワルイ奴等に捕まって売られるのがオチ。それを解ってるのか、解ってないのか知らないけど、リーはいつもみたいな喧嘩腰でがなる。
「っ いいだろっ おれはおれでちゃんと考えてるんだから!! もう少ししたら出て行くから、放っといてよ!!」
人が親身になってやろうとしたら反発しやがる。生意気なガキはこれだからキライなんだ。