Crimson in the Darkness -権與-U-8
「…………リーを追ってたのってお前らヴァンパイアだったのかよ……」
なんつーモンに追われてんだ、あの馬鹿ガキ。
『リー? あの赤毛か? やっぱり知ってるのか……答えろ。何処に居る?』
より力を籠めて、首を締め上げてくる。その気になれば簡単に殺せる筈なのに、よっぽど知りたいらしいな。
「ッ 知るかよっ こっちが訊きてぇ!」
『死ぬか? 一介のエクソシスト風情が一人で高位魔族のヴァンパイア二人に勝てると思うか?』
さっきの女がいつの間にかオレの真後ろに立っていた。視界に納めれば、口端を吊り上げ、舌舐めずりしてやがる。
「魔族に殺されるなら本望だよ」
『そうか。なら、全身の血を吸って、従属にしてやる』
一方的に殺される気も、化け物の使いっぱしりになる気も無いけどな。こっちにもプライドってのがあるんだ。
「人間に手ぇ出してんじゃねーぞ!! 馬鹿ヴァンパイア!!」
「!」
甲高い大声にオレを締め上げてたヴァンパイアの気が逸れる。―――ありがたい。脇腹に隠してあったソレを右手で引き抜いて、そのまま一閃させた。
『ガッ アアア゛ァ゛ァ゛!!』
斬り落とすとまではいかなかったが、ヴァンパイアの片腕から白い煙が上がる。
『人間!! 銀のナイフかっ!!』
オレの手に収まった鈍色の刀身を睨み付ける様に男のヴァンパイアは苦々しげに叫んだ。でも、やはり深手とまではいかなかったらしい。無傷な方の手を挙げると、男のヴァンパイアの顔がいやらしく笑む。
その瞬間――脇腹に衝撃が走った。