Crimson in the Darkness -権與-U-4
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「出て行く」
家に帰ったら、リーが出迎えた。……かと思ったけど、違ったらしい。こいつは開口一番にそう言った。よく見れば、最初に会った時のコートを着て、靴を履いてる。
「………………出て行って、何処に行くんだ?」
「テキトーに探す」
顔を伏せたまま、リーはそう言う。全くもって、意味が解からん。
「お前……テキトーってなんだ。子供一人で何が出来る」
「………………放っとけって言っただろっ 赤の他人がくだらねーコト気にしてんなよ!! バーカ!!」
玄関先で吠えるな。馬鹿ガキ。
つーか、何でそんな意地になってんだ、コイツは。でも、何でか……ムカつく。
「人が心配してやってんのに、なんだその態度は?」
「おれはいつもそうやってきたんだ!! ごちゃごちゃ言うなよ!! それに心配してくれなんて、頼んでない!!」
ホント、ムカつく……でも、そこまで言われたら、何かを言う気にもならない。
「…………そうか。じゃあな」
玄関のドアを開けたまま、家に入ると、リーは擦れ違うように玄関を出て行った。