Crimson in the Darkness -権與-U-2
「………………。そうかよ。なら、好きにしろ。馬鹿ガキ」
「………………」
思いの外、大人しいリーに違和感を覚えて、自然と手を伸ばしていた。
「おい……っ?」
思い切り手を払われてた。意外にそれは驚くもので。
「…………うーーっ」
呻くような小さな声が耳に届いた。
「…………リ……」
「アークの馬鹿ああぁぁぁっ!!!!」
大声で叫ぶと、リーは寝室に駆け込んでドアを思いっきり閉めた。オレはオレで、唐突な出来事に唖然としてしまってその場に立ち尽くしてた。
「…………何だ……今の」
ソファに寝転がっても寝れやしない。いつもならあっという間に夢物語なのに。アイツ、ぼろぼろ大粒の涙を溢してた。何で泣いたのかなんてサッパリだったが、今まで何を言われても傷付いた顔なんてしなかったのに……オレが泣かせた。
「何だよ…………ショック受けてんのかよ、オレ」
ガラにも無い。どんな女に泣かれようが同情一つしなかったのに。ガキ一人に動揺かよ……らしく無ぇな。