Crimson in the Darkness -権輿-T-5
「う?」
「『う?』じゃねえ。馬鹿」
「馬鹿、馬鹿言うな! オッサン!」
また、頭に血を上らせて、リーは噛み付いてくる。ギャンギャンうるせーな。ホントに。
「オレはまだ20だよ。どこがオッサンか言ってみろ。クソガキ」
まだピチピチの若者だぞ、オレは。すると、赤毛のガキはまた目を真ん丸くした。どーゆー意味だ?
「20!? 何だよ、そのヒゲ! タバコ臭いし! 今日は更に汗臭い! カレーシチューってやつか?」
―――は? カレーシチューって何だよ……。
意味が解からなくて、しっくりくる言葉を頭ン中で模索すると、漸く一つ出てきた。
「カレーシチューじゃなくて加齢臭だ。そりゃ、もっと年いってからだ。馬鹿ガキ。どこで覚えた」
「テレビ」
「はぁ……、昨日、風呂入るの忘れたからな……」
「食べたら入れよー。臭いぞ」
臭い言うな。
仕事して、汗かいて、臭いって言われてる世の中のお父さんは泣いてるぞ。ガンバッテ働いても、それじゃ報われねぇからな。