Crimson in the Darkness -権輿-T-3
*****
「アーク!」
身体を何度も揺り動かされて、微睡(まどろ)む意識を無理矢理叩き起こして、何とか目を覚ます。
「アーク!」
「うっせー。耳元で叫ぶなよ」
まだ惰眠を貪ろうとする身体を引きずる様に起こして、傍で名前を呼び続けるリーを見つめると、こいつは何を思ったのか、真っ赤になって顔を背けた。
「…………もうご飯出来てるよ」
「ん……? 今、何時だ?」
日頃の疲れでいつの間に眠っていたらしい。俯いたまま、リーはモゴモゴと答えた。
「に、……2時」
「そうか……。お前、メシは?」
「まだだよ。アーク、なかなか起きないから」
そう言うとリーはベッドから離れる。
「…………今度から先食ってろ。律儀に待つなよ、リー」
立ち上がり様にリーの頭をポンポンと撫でてやったら、リーは青い瞳(め)を見開いて、口をあんぐりと開けた。
「何だ? その馬鹿ヅラは」
「なっ! 馬鹿ってゆーな! 馬鹿アーク!」
「……やっぱガキ」
「う゛」
膨れっ面で言い返してきたリーは自滅。ガキだな、やっぱり。自覚あったみたいだしな?