けんぽなし〜オトナ〜-1
松ぼっくりが…あったとさ〜…た〜かいお山にあったとさ…ころころころころ転がって…
明日から夏休みだ…
別に予定があるわけではないけど、耕太郎に会えないのは寂しい…だけど…
何だか、胸弾む…
「瑞希っ、太一の所?俺も行くから、一緒に行こう」
ドキっ…
昇降口で耕太郎に捕まった。
「え…でも…」
ーうぅ…緊張…
耕太郎の隣…いや…ちょっと後ろを歩きながら、この、何とも言えない優越感に浸っていた。
「…砦…」
「!!ーえ?」
「砦、夏休みに問題起こさなきゃ無期停解除だって、さっきメールきた」
「…そっか…そうかっ良かったね〜」
あの後、ひったくりをされた女性は、被害届けを出さなかったそうだ…
なぜかは分からないけど…
だけど、そのおかげで砦は警察でも厳重注意ですんだ。
学校では無期停学処分をうけていたが、それも、もうすぐ解除だ…
円の話では、中学に入ってすぐに砦の両親は離婚をしたらしい…
だからといって、砦のやってきたことは許されるわけではない…
砦もこれから変わっていけるだろうか…
絵梨沙からは、たまに電話がある。
学校や家での愚痴を言いたいだけ言って切ってしまうけれど、私は、その電話が嬉しいのだ。
「腹減ったな〜…何か買って行こうか?」
「う、うん!!」
…耕太郎の1つ1つに緊張する自分が情けない…
私達は途中のコンビニに入った。
「おっ、このパン新発売だってよ、うまそうだよな、な?瑞希」
ドっキー…
「う…うん!!だね〜」
「太一も甘いの好きだしな〜…ケーキ買っていい?」
ドキ、ドっキー…
「う、うん、買っちゃおうっ」
ーああ〜…ダメよ耕太郎〜…その罪深い笑顔を私に向けないでーーーーっ
何でもないこんな買い物が、こんなに楽しいなんて…
「空…めちゃめちゃ食うからな〜…」
ーうぅぅっ…
一瞬でクールダウン…
ーそうだったー…あいつがいるんだー…
空の顔がよぎる…
あの日の…空の顔が…
ドクンっー
空も何かを抱えているのだろうか…
やりきれないような…
投げ出したくなるような…
そんな思いを…