けんぽなし〜オトナ〜-5
「あなた達、高校生?どこの高校?クラスと名前は?」
甲高い声がどこからか飛んできた。
見回りをしている私服警官かどこかの先生だろう。
きっと奈々の制服姿が目に入ったのだ。
確かに、かなり目立っていた…
「やべっ、みんな、別々にダッシュだ!!」
砦のかけ声と同時にみんなは駆け出していた…
ー耕太郎…っ!!なっ!!
私は耕太郎の背に手を伸ばした…
が…
その手を取って、耕太郎とは反対方向へ走り出したのは…
…空だ
ーなっ!!ちょっ…ちょっとーーーーーー
空が私を解放したのは、駅前のコンビニだった…
「も……め……くるし……」
息が苦しくて…
吸っていいのか、吐いていいのか分からない…
ーなんか…前にも…あったよね…こんな事………
ちょっとづつ空気を取り入れながら、ぼんやりとそんな事を考えた…
「……帰ろ、送る…」
ぶっきらぼうにそう言うと、空は私に背を向ける。
ー………
何だろう……何か……
!!っ
そうだ…最近、空の笑顔を見ていない、気がする…
「…耕太郎…」
ドキっ
ーえ!?
突然、空が口を開く。
「…別れたらしい…あの女と…」
ー…え…
「お前…告れば…?…フリーのとき断ったことねーからなあいつは…」
「な…何で、…私…別に…」
しどろもどろな私は…バレバレだ…
「チャンスだろ」
ー………
「……分かんない……」
私は足を止めた。
「は?」
つられて空も足を止める。
「…私…分かんない…付き合うとか…」
「は?」
「…やっぱり子供だよね私…」
「は?」
「みんな、知らない間に大人になってく…何か…私…私だけ子供のままみたいで…恥ずかしい…」
ー…うっ…何言ってるんだろっっああああ〜言ったはなから後悔っっ!!
私、たまらずに顔を伏せる。