けんぽなし〜オトナ〜-4
ー…ちょっと悔しい…何で私が隠れなきゃいけないのよ…
だけど、どうにもだめだ…
あんな真剣な顔をした空を…
私は、どうしていいのか分からない…
「行こうか…」
砦の言葉で歩き出した私達…
裏路地を当たり前のように歩く砦…
その後ろ姿を見ながら、私はこの場所にいることが、何だか、すごく、すごく場違いのように思えた…
「この辺だけどな〜…まぁ、そんな都合よく会えるわけねーよなー…」
砦が立ち止まり、周りを見渡す。
「だよなー…」
耕太郎、砦の隣に立ち一緒になって当たりに目をやる…
ー………
「あれ?もしかして瑞樹?」
ドキっ!!
その時、後ろから声がした。
ー!!っ歩!?
きっと誰もがそう思っただろう…
私達はほぼ同時に声の方向に振り向いた。
ー…?え…
そこにはスーツ姿の男と腕を組んでいる制服姿の奈々(なな)が立っていた。
「奈々!?」
有井 奈々(ありい なな)
保育園の13人の中で一番月齢が低く、月齢の近い私と円とよく遊んでいた。
中学から私立の女子中に入り、今はそこの高等部へ行っている。
「びっくり…ちょっと、このメンバーって保育園の?」
奈々、私達を見渡しながら言う。
「奈々…俺、もう帰るから」
奈々が言い終わらないうちに奈々の隣にいた男が、奈々の手を払うように去って行った。
「彼氏〜?〜」
すかさず、円が奈々の脇をつつく。
「やー…マズいとこ見られちゃったなー…実はー…今担任なのっっ、きゃ、内緒ねっ」
頬を染める奈々が、遠くに感じる…
私は置いてけぼりをくわされた…ような感覚だ…