けんぽなし〜オトナ〜-2
「おおっお前達、気がきくな〜…」
太一の部屋に入るなり、空がお菓子を空けだした…
ーうぅぅっ…こんなヤツ…心配なんかしてやるもんかっ!!
「や〜だ〜…太っちゃう〜…」
そう言いながらケーキに手を伸ばす円…
「おうっ食え!!どんどん食え!!」
その円に空が言った…
ーああぁぁー…こんなヤツの心配を一瞬でもした自分が憎い!!
「うい〜っす…」
その時、ちょっと照れた笑いを浮かべた砦が入って来た…
「…砦っ!!」
私は思わず立ち上がる。
「おうっ、瑞希?だよな…変わんねー…」
そう言って、砦は私に笑顔を向けた。
その笑顔は…
あの頃の、砦の笑顔だ…
ー…よかった…
「あれ?でも、何でここにいるの?」
「ああ、俺、俺が呼んだの」
私の問いに、耕太郎が答えてくれた…
キュ〜ンっっ
ーさすが…耕太郎よね〜〜
ドンっー
ー痛っっ!!
空が私の背中に蹴りを入れる。
「邪魔!!早く座れ〜っ、まぁ、立っててもチビだから座ってるようなもんか…」
ーなっっっ!!
ケタケタ笑う空に軽く殺意を抱きながら、さりげなく耕太郎の隣に腰を下ろした。
ーちょっ…ちょっと…私っ!!大胆になってない?なんか…駆け引き出来る女みたいじゃない!?…っーきゃーーー!!
「お前達さー…保育園の仲間集めてんの?」
砦が私達を見渡しながら言った。
「会いたくなってさ…ちょっと、色々声かけてる…いいだろ?」
ー…え?…
耕太郎の言葉に驚いた…
だって、知らなかった…耕太郎がそんな事をしていたなんて…
ー…そうか…耕太郎が…
トクン…トクン…
私は静かに響く鼓動を、耕太郎の隣で静かに押さえ込んでいた…
「俺…あいつ見かけた…かも…」
砦、一呼吸置いて、ゆっくり言った。