ラブリー・ワイフ/世話女房-2
[ 涼子は今、病院なんだよ… ]
[ わぁってるって…
その恋女房に泣きつかれてあんたの面倒みに来てやったんだから。 ]
買い物の荷物をバカ亭主に押し付けると私は靴を脱いでドカドカと主のいない新居に上がり込む。
冷蔵庫の中で適当に…
そんな事言われてもこの私にそんなレパートリーがあるわけがない。
スーパーで魚を買って来て、それ焼いて食わせておけば話が早いというものよ…
[ ほら飯だぞ、飯。
さっさとかたずけなよ、ほらぁ! ]
[ これ、シチューに入れるやつだよ。 ]
[ あぁっ!? ]
魚だけだと栄養が偏るかと思ったのでトマトの缶詰めをみつけたからボールに盛って出したのだった。
[ バカだねぇ!
そりゃ間違いだよ。
こりぁサラダにして食うもんだよ。 ]
[ この魚…ウロコが生えてるよ。 ]
しまった…
魚にウロコがある事をすっかり忘れていたのだ。
[ こりぁ…あんた。
こうしてぇ皮を剥いて中身を食うんだよ。
あんた何も知らないねぇ… ]
[ 焼けてない… ]
[ あぁっ!? ]
[ 大丈夫食える食える。
刺身でも食えるんだよ、ほら新鮮だし… ]
涼子のやつに甘やかされて、本当に文句の多い亭主だけど…
たしかにこうやって男の面倒みてると結構、かわいく思えてくる…
どうにか飯を食わせて風呂を沸かして…
パンツ出してやんなきゃならないんだっけ。
[ ぬるくない? ]
[ 大丈夫だよ。 ]
[ 洗ってやろうか? ]
[ えっ?…何? ]
他人の亭主の風呂をあたしは遠慮なく覗く。