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【家族 その他小説】

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「その宝物、虹太に見っけてもらおうと思って」

それがさも当たり前であるように姉ちゃんは笑った。

「いやいやいや」

俺はすぐさま反論する。

「いやいやいや、じゃない!姉ちゃんのために頑張れ」

「つぅかさ、虹出てないじゃん!無理じゃん!」

「無理じゃない!気合いで頑張れ!」

「そもそも、何それ。言い伝え?噂?全然知らないけど」

「え、知らないの?ダァッサ…」

いくら姉ちゃんとは言え、ぷっと笑われたらしゃくに障る。

「とにかく、虹太は姉ちゃんの後についてくりゃいいの!」

「……はいはい」

この女王様気質は昔から変わらない。
俺は諦めて、大人しくついて行くことにした。




それから程なくして、姉ちゃんは家の裏にある雑木林の入り口で足を止めた。

「はーい、ここでーす!ここに宝はありまーす、たぶん」

語尾のたぶんがすごく引っかかる。

「ここ?」

「そ。たぶん」

今日は朝からどんよりとして、今にも雨が降りそうだった。
そんな天気の時の林の中は薄暗くて不気味だ。

「さ、行くよ」

「あんまり行きたくないんですけど」

「はー?何?もしかしてまだちっちゃい頃の肝試しのトラウマ残ってんの?」

あれは姉ちゃんが面白がって俺を一人にしたのが悪い。

「それもあるけど、でも」

「でもじゃなーい。さっさときなさい、チキンボーイが!」

姉ちゃんがチッと舌打ちしながら、早くしろよと俺を顎で促す。

「…わぁかったよ!」

俺は過去を打ち破るように一歩を踏み出して、姉ちゃんの背中について行く。
歩みを進める度に心臓の音が大きくなり、呼吸すら出来なくなってくる。
トラウマというのは何と厄介なものなんだ。
ギュッと握り締めた掌には汗が…。
ふと、姉ちゃんが立ち止まる。


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