天気-1
『heart〜天気〜』
「千葉ぁ、オレはどうしたら良い?」
花鳥院風月(かちょういんかざつき)は教室の僕の机で嘆いてた。僕の妹の千葉行方(ちばゆくえ)と付き合い始めて二ヶ月が経とうとしている。
「知らないし、退いてくれる?」
僕の席に座って嘆いているから、僕は座れない。
「行方ちゃんが構ってくれないんだよぉ!」
付き合って一週間目くらいまでは風月にいらつきを覚え風月をボコボコにしたが、最近はそれにも飽きてきたので普通に接していた。
「飽きたんじゃないの?」
「そんな事ない! サプライズにサプライズを重ねてるんだよ!」
サプライズにサプライズを重ねる、とはどういう意味なんだ?
「まあ、行方の気持ちは晴れたり雨が降ったりする天気みたいにコロコロ変わるから、気にすんなって。な?」
僕の机で泣いている風月を僕は立ったまま風月の背中をさする。だが、風月の嘆きは止まない。
「でもぉ、オレは行方ちゃんに構って欲しいんだよ!」
ウザい。ウザさに拍車が掛かっている。
「彼方(かなた)に構ってもらえば?」
千葉彼方(ちばかなた)は僕のもう一人の妹で、行方の姉にあたる。行方と彼方は一卵性双生児――いわゆる双子な為、顔はそっくり。だけど、性格が百八十度違う。
「彼方ちゃん、オレに冷たいし……」
今度は逆にへこんでいる。
「彼方はツンデレなんだよ。きっと。だから、風月に冷たくするんだよ」
「そうなのか……?」
「そうだよ! きっとそうだよ」
「うん! そうだ! そうだよな!」
みるみるうちに元気を取り戻していく。
「彼方は風月の事良いなぁって言ってたから――」
僕が言い終わる前に風月は「彼方ちゃーーん」と叫びながら教室から出ていった。
心の中で彼方に謝る。そして、その後家で彼方にボコボコにされて、しばらく病院通いになったのは言うまでもない。
End
『雑談BBS・1192作ろう小説で!・参加作品』