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姉貴先輩
【青春 恋愛小説】

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姉貴先輩-2

「大丈夫か?」
「あ〜、休んだら帰る。悪いな、先帰ってくれ」
「張り切りすぎだろ。しかし手塚先輩が褒めるなんて、熱でもあったんじゃねえの?」

ふふ、僻むな友よ。
悪い事があれば必ずいい事が起きるんだ。真面目に生きていればな。
いつまでも休んでたら遅くなっちまう、早く着替えなきゃ。
起き上がってロッカーを開けたら、ドアの向こうから声がしてきた。

¨珍しいわね、あの子を褒めるなんて¨

休憩所に誰かいるのかな。もう大体の人は帰っちゃったはずだけど。

¨優ちゃんが他の子褒めてるの初めて見たわよ¨

・・・せ、先輩がいるの?!って事は声の主はよく話してるパートさんかな。

¨たまにはそうしてあげないとね。それに、今日は動きは良かったんですよ彼¨

手塚先輩がいる。まだ帰ってなかったのか。
どうしよう、テンション振り切りそうだぜ。本当にどうしよう!

¨見てると危なっかしいんです。いつ何をやらかすか、もうはらはらしちゃって¨

あは、あははは。ごめんなさい。まだまだ新人なもんで。
褒められたくらいでいい気になっちゃいけないよな。でも嬉しかったり・・・

¨まだ入ってそんな経ってないのにずいぶん気に掛けるのね。もしかして好きなの?¨

え?!い、いきなりそんな事を聞きますか?!
答えを聞きたくない様な、でも怖いけど聞きたい様な。どうしよう耳を塞ぐべきか、それとも聞くしかないのか。

¨ち、違いますよ!えっと・・・なんか弟みたいなんです。私お兄ちゃんしかいないんで、弟がいたらいいかなって¨

聞いてしまった。
弟ねぇ・・・・・・喜んでいいのかな。
先輩の家族構成とは真逆で俺は長男なんだよな。
確かに、弟は遊んでても何をやらかすかはらはらするなぁ。
何人か弟と妹はいるが歳は離れてて、どうしても一緒にいると親代わりみたいになってしまう。

¨お疲れ様でした!¨
¨顔赤いわよ、うふふふ¨

ドア越しに手塚先輩を見送りながらロッカーを閉める。
考えてみれば、俺に対しての接し方は弟に対するお姉ちゃんみたいだった・・・かも。

よし、まずは¨弟¨としての後輩から一歩抜け出そう。

やるぞ、俺はやる!


〜おしまい〜


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