飴玉-2
(・・・あの子はいったい・・・・・・)
遠くに見える背中は心なしか俺よりも頼もしく見えた。
一歩ずつしっかり歩いていく足取りは、俺よりも自信に溢れている気がした。
俺が悩んでいるのを見抜いたかの様な言葉・・・いったいあの子は何なんだ?
それからしばらくしたある日、同僚に言われた。
「お前最近顔つき変わったな」
「成績はそんなに変わってないけどな」
「そりゃそうだが、なんだか表情が違うよ」
成績があまり伸びてないのは事実だ。
だけど、あれ以来何か気持ちが変わった様な気がする。
あの得体の知れない子供に会ってから、だろうか。多分。
きっともうあの子とはこれから生きていく上で会う事は無いだろう。
時間にすれば数分にも満たない些細な出来事かもしれない。
だけど、いつまでも記憶に居座り続けるだろうな。
考えれば考える程あの子の正体は掴めなくなる
貰った飴玉とは違う、すぐに形も味も無くなるものじゃなさそうだ。
これから、意識に隙間が出来た時、どこからやってきたか分からない子供を思い出すだろう。
〜おしまい〜