秘密〜未来への不安〜-2
私がお酒を飲みすぎた理由はもう一つ。
今日はリエルちゃんが風邪を引いたらしく欠席している。
いるのは、私が部活に入った時のメンバーだけ。
私はこの時の部活の方が好きだった。
だからついつい…
(ごめんね、リエルちゃん)
私が心の中で謝っていると
「吐くなよ」
びっくりして後ろを振り返ると
「陸先輩!?」
「吐くなよ?」
陸先輩は、また同じことを言ってきた。
私は酔ってないことを証明しようと
「吐きません!」
力強く答えた。
っが、次の瞬間体がぐらりと揺れた。
「おいっ」
私は壁に手をつき、持ち堪えた。
先輩は私を支えようと伸ばしかけた手をそっと引っ込めた。
「ったく、少し風にあたるか?」
「…はい」
私は、先輩の後ろを歩きながらついていった。
(前にもこうして、先輩の後ろ姿を見ながら歩いたことがあったなぁ)
そんなことをぼんやりと考えながら歩いていると、次第にその時のことを思い出してきた。
(確かあの時は、先輩が撮った写真のモデルを私がしたから、そのモデル料ってことでケーキをご馳走に……
しまった!!
私、陸先輩をモデルに写真撮っておいて、先輩にモデル料払ってない!!)
私が固まり、立ち止まっていると
「どうした?」
陸先輩が気付き、振り返った。
「私、まだ先輩にモデル料払ってないんですけど…何がいいですか?」
恐る恐る尋ねると
「そんなのいいよ、別に」
けろっとした顔で答えられた。
「でっでも、私はちゃんとおごってもらったし…」
「じゃあ、出世払いでいいよ」
先輩は前を向き、再び歩き出した。
「どした?」
未だ動かずに立ち止まっている私に気付き、先輩は振り返った。
「大丈夫か?」
陸先輩の声にハッとし、顔をあげすぐに返事をした。
「大丈……」
最後まで言えなかった。
平気なはずだったのに、言葉に詰まり、涙が溢れてきた。
「おいっ!?」
陸先輩の声がうろたえていた。
(ダメだはやく泣き止まなくちゃ。
先輩が困ってる)
そう思っても、涙をすぐには止められなかった。
「ちょっとここ座れ」
先輩は私を近くのベンチに座らせ、自分も隣に座った。