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秘密〜出会い〜
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秘密〜未来への不安〜-3

「落ち着いたらでいいから話してみるか?
オレで良ければ聞くぞ?」
私は一度深呼吸をし、話始めた。

「私、先生になれるのかな?って。
保育者として良い人程はやく内定貰えて、私なんて何度も落ちて、一応決まったけど卒業前ギリギリで…
それに、子どもにとって『先生』ってとっても偉大な存在じゃないですか?
また、保護者から見て『大事な子どもを任せられる、頼りになる存在』でなければいけないと思うし…
子どもにとって、幼稚園保育園に通ってる時期ってとっても大事だって教わって…
そんな大事な時期に私なんかが関わって大丈夫かな?って…
私、『先生』としてやっていけるのかな?って不安になっちゃって…」

内定貰えるよう、就活頑張った。
だけど、いざ内定貰ったらその先を考えて不安になった。

ううん、ホントはわかってた。
保育の勉強しながら『この仕事は私には向いてない』って。
だけど、今更学校辞めるわけにもいかなかった。
卒業して違う職に就くのは、学費を出してくれた親に申し訳なかったし、他にやりたいこともなかった。

周りが幼稚園保育園に就職するから、私もそうしただけ。
そう、流されただけ…
こんな私が──

「それってさ、考えるんじゃなくて、やってみるもんじゃない?」

私は、ハッと顔を上げた。

「誰でも初めっから『先生』にはなれないんじゃないかな?
経験積んで、自分の理想とする『先生』になれるんじゃないか?
それに俺は、似合ってると思うぞ」

「?」

「それから、幼稚園保育園で出来なかったこと、俺たち教員が小中学校でしっかり教えてやるから心配するな!
子どもたちの前で、いつもみたいに笑ってればいいんだよ、『夏実先生』っ!」

「…はいっ!」
私は自然と笑えた。

「よしっそれじゃ店戻るか。
そろそろ戻らないと皆心配するだろ」
先輩が立ち上がり、私も後に続いた。

先輩の後ろ姿を見ながらお店に戻る。
先輩の柔らかそうな髪が優しく揺れている。

ふと空を見上げると、綺麗な満月が、私たちを優しく照らしていた。


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