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小さい頃から私は引っ込み思案で,いつも教室の隅でひとりぽつんとしていた

寂しかった

本当はもっとみんなとワイワイしたり,常に笑顔でいられるような毎日を送りたかった

でも気弱な自分を変えられなかった私はいつしかいじめの標的となってしまった

正直仕方ないと思う
けして華やかな顔立ちじゃないし,なによりも自分の殻を破れないような人間なのだから

いじめてきた人の事は恨まないであげよう

どうせこの苦しみからもうすぐ逃れられるし

けどやっぱりお父さんお母さんには悪いと思ってる

ここまで私を育ててくれてありがとう

私のためなんかにどうか悲しまないでね
本当にごめん

こんな私を許して

あ,そういえば今日のサッカー勝てたのか・・・・な?

そう考えてももう遅い

ロープは奥野夏樹の首に強く食い込み,意識を奪った

そして小学校から彼女が使っていた学習机の上には“お父さんお母さんへ”という手紙が置いてあるだけだった
ふと,目が覚めた

時計を見ると7時ちょっと前

夏希はふぁ〜と大きなあくびをし,伸びる

(ずいぶんリアルな夢だったなあ・・・自分が自殺しちゃうだなんて・・でもまた学校でいじめられるのはいやだよ・・いっそ夢が本当だったらいいのに・・・)

そうこう考えてるうちに母親が起こしに来たから,仕方なく体をベッドから起こした

「ったく・・早く顔洗いなさいよ!いい加減高校生になったんだから自分の事くらいパッパッとしなきゃ」

「はいはい・・分かってるよ,今すぐやるから・・」

そう言ってうるさい母親から逃げようとすると,部屋を見回した母親が大きな声を上げた

「ちょっと!なによこれ・・お父さんお母さんへって・・あんた悪いことでもしたの??」

母親がもっているのは夏希が自殺しようとして書いた手紙だった

(なんでそれが・・・あれは夢じゃなかったの!?だって首になんの跡もないのに・・・)

「いやだ!ロープまである!夏希あんた・・もしかして死のうとしてたんじゃないわよね??」

「えっ!?そ,そんな訳ないじゃん!考えすぎだよ!ロープは美術で使うの!・・あとその手紙も返してよね!」

誰にも知らせずに死にたかった夏希は必死に母親の勘違いだと諭し,なんとかその場を切り抜けて洗面所へと急いだ

(一体なんなの?自殺した事は夢で手紙を書いてロープを準備したのが現実だなんて・・)

顔を洗い歯を磨き髪をセットしようとある事に気付いた


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