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『滝くんの愛読書』
【学園物 官能小説】

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『滝くんの秘密』-1

『恋愛をすると成績が下がる』
よくこんな経験則を聞くけど、私の場合にはあてはまらないみたいだ。

パラパラとページをめくる音とカリカリとシャープペンシルを動かす音だけが響く図書館に静かに音楽が流れ始めた。
閉館20分前を知らせるメロディーだ。

「そろそろ帰ろうか」
「うん。そうだね」

隣りの席に座った滝くんにそう言われ、私はパタンと英語の参考書を閉じた。

滝くんと付き合ってからもう三か月以上経つ。テストが終わってからも滝くんの『続けなければ実力はつかない』という厳しいお言葉のもと、私達は図書館で毎日勉強をしている。最近は数学だけでなく他の教科の勉強も始めた。

『慣れ』というのは素晴らしいもので、学校帰りに図書館に行って勉強をするということが私の中で当然のことになっていた。

(学校終わった後なんて家でテレビ見たり漫画読んだりしてたのにな〜)

帰り支度をしながらぼんやりとそんなことを考える。
滝くんとの関係は周りに『本当に恋人同士なの?』っていいわれるようなものだけど…。

「手、つないでいい?」

図書館を出たところで私がそう言うと滝くんは何も言わずにコートのポケットから手をだして私の手を握ってくれる。
ぐるぐると巻付けたマフラーから見える照れくさそうな表情にきゅんきゅんして、私は勉強の疲れもふっとんでしまうのだった。

「今度滝くんのお家にいってみたいな」

並んで歩きながら私はおもむろにそう切り出す。

「え?なんで?」
「だってこの前は滝くんが家にきたじゃない?だから今度は私が」

最近帰りが遅い私のことを訝しがっていた両親に二学期の成績表を見せると、二人は狂喜乱舞し、『冬休み中にぜひとも滝くんを家に連れてきなさい』ということになったのだった。
二人は礼儀正しく端正な顔立ちをした滝くんを一目で気に入り、私達はすっかり家族公認の仲になっていた。

「うーん別にいいけど…今週の日曜日とかなら…」
「じゃあ決まりね!今週の日曜日!」

私は久々の図書館デート以外のデートにわくわくしていて、滝くんの若干曇った表情に気付かなかった。


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