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海螢
【SM 官能小説】

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海螢(芙美子の場合)-10

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 …… 様へ


桜の花弁も強い風によって、もうすっかり散りましたね。
さわやかな風が、体の奥まで瑞々しく潤してくれるようです。

三人の女性の物語をネットの投稿小説サイトに掲載してきましたが、お読みになっていただいた
でしょうか。三人の女性の心と体、そしてその性が私自身であることを、あなたはすでにお気づ
きになっていることと思います。
あなたが私との婚約の記念に贈ってくれたウミホタルの素敵な写真を目の前において、物語の最
後の文章を書いています。


あなたのもとに嫁いでいく私を、きっとあなたは心待ちにされていることだと思います。
自分が結婚することになるなんて、いまだに信じられません。ひとりで住み続けたこのマンショ
ンでのいろいろな思い出が頭の中をかけめぐり、少しばかり感傷的にならざるえない日々です。

三十五歳という自分の年齢が結婚の潮時だなんて、私は微塵も思ったことはありません。好きに
なって、愛し合い、セックスをする。結婚して子供が生まれて家族ができる。そんなほのかな幸
せを求めないと言えば嘘になります。


わたしは、いつも自分自身を捜し続けています。わからない自分の心と性をさまよい、愛する人
とわたしとの本物のきずなを求めてさまよい続けていたいのです。


あの別荘を私たちが借りる契約の件は大丈夫でしょうか。あなたのご友人のS氏様ご夫妻がご趣
味の特別なプレイ用としてご使用になられていたというあの別荘は、私たちにはぴったりの場所
になりそうですね。
別荘の地下にあるあの部屋で、あなたは私をどんな風に迎えてくれるのでしょうか。


しばらくはお互いの仕事の関係で、週末だけをあの別荘ですごす夫婦になりますね。わたしは、
別荘に行くのに便利のいいマンションに引っ越す予定です。


結婚式は、別荘の近くにある教会でふたりだけで行いましょうね。
私が選んだシルクの純白の素敵なウエディングドレスは、きっとあなたも気に入ってくれること
だと思います。

あの別荘で迎えるあなたとの初めての夜を楽しみにしています。



あなたの妻になる…より


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