双子の姉妹。 6-5
「ちょっと熱くなってしまったが、次は琴音」
「……」
琴音は黙ってファイルを俺に渡した。
すぐさま開いて目を通す。
「……よし!琴音、よくやったぞ」
琴音の元気がなかったため心配したが、どうやら勘違いだったらしい。
琴音は合格ラインを大幅に超えていた。
「約束でやる気も出たみたいだな、琴音、これからも頑張るぞ」
「…うん」
琴音は控えめに笑った。
「ちょっと俊哉、琴音の約束って何だったの?」
「ん?合格ライン超えたら遊園地デート」
「はぁ?遊園地デートォ!?」
麻琴が叫びながら立ち上がる。
「なんだ?お前も遊園地デートしたいのか?」
「べっ!別に遊園地デートなんか…そんなの子どもじゃあるまいし…」
腕を組んでぶつぶつと呟く麻琴。
「……よし!じゃあ今話したとおりな!ミーティング終わりー」
俺が立ち上がると、麻琴とおばさんは姿勢を崩した。
「じゃあご飯作るわね。俊哉くんも食べて帰るでしょ?」
おばさんも立ち上がりキッチンに向かう。
「はい、ご馳走になります」
「はぁ、琴音は遊園地であたしはずっと勉強漬けか…」
「合格したらお前も遊園地連れて行ってやるよ」
「だーかーら!」
琴音だけがそのままの姿で座っているのに、俺は気が付かなかった。