双子の姉妹。 6-3
「なんか騒がしいと思ったら、せんせ、どうしたの?」
騒ぎを聞いて、琴音が自分の部屋から出てきた。
「よう、琴音。お前が模試の結果出たってメールくれたから来たら、こんな感じだ」
「……たぶん、あれを隠してるんだと思うよ」
「あれ……あ、忘れてた」
俺にはピンチのときに使うことができる交渉権があったのだ。
しかしこれはまだ使い時ではないだろう。
「あたし、先に結果持って下りてるね。お母さんにも見せなきゃいけないし」
「ああ」
「お姉ちゃん、隠したら出てくると思うから」
琴音はそう言って階段を下りていった。
「……琴音、嫌に冷静だっな。いつもなら喜んでるだろうに」
まさか…合格ラインに足りていないなんてことはないよな。
「はぁ…はぁ…ごめん俊哉、結果探してたの」
ほとんど入れ替わりで麻琴が息切れしながら出てくる。
「……そうか」
「うん」
ドアを開けた際に一瞬部屋の中が見えたが、ベッドの上の布団が不自然にもこもこと膨らんでいた。
「じゃあ麻琴、下りるぞ」
笑いを必死で堪えながらそう言った。