双子の姉妹。 4-4
「俊哉、騒いでたと思ったら、なに突然ぽけーっとしてんのよ」
「あ、ああ、今ちょっとお前たちとの出会いを思い出してた」
「はぁ!?おじいちゃんじゃないんだからその歳でそういうのやめなよ」
「うるせー!全国の忘れっぽいおじいちゃんに失礼だろうが!懐かしいなぁ…麻琴がいきなり赤点とった!助けてください!って泣きついてきて」
「泣きついてなんかないわよ!あたしは家庭教師なんて嫌だったのに、お母さんが勝手に頼んだんでしょ!」
「麻琴、そんなこと言わないの。俊哉くんがいてくれたからあの時も助かって、今も成績上がったんでしょ」
「そのとおりです、はい」
俺はそう言って頷く。
「うぅー!」
おばさんが制止すると麻琴は手をわなわなと震わせた。
「それに比べて、琴音は初対面のときから可愛らしかったなぁ…遅れて帰ってきて突然頭を下げて…」
「そうだったっけ?」
口の端にご飯粒をつけた琴音が言う。
「ああ、それでいざ勉強を始めたら、緊張したのかもじもじして顔を真っ赤にして…あぁもう可愛らしかった!」
「そうだった…かも」
あのときのように、かぁっと顔を赤くする琴音。
「ちょっと、あたしに対する当てつけ?」
麻琴が俺を睨む。
「そう怒るなよ…麻琴、さ、ん、ぷぷっ」
「むっかぁ!完全に怒った!」
「うわっ!箸投げるな!行儀悪い!」
そうして今日も、騒がしくも楽しい櫛森家の食事は過ぎていった。