秘密〜相手への想い〜-5
以前彼氏に浮気されて辛い思いをしたという、えみが何か言おうとした時
「私だったら、浮気されないよう、陸を私に惹き付け続けられるよう努力する。
それでも浮気されるなら、私の努力が足りなかったってこと。
浮気されたって、また私のトコに戻って来て貰えるよう頑張る!
『ホントに好き』ってそういうことじゃない?
自分の理想通りの人なんて滅多にいない。
皆一つや二つ、相手の良くないトコ我慢して付き合ってるでしょ?
っていうか、そういうトコも含めて『好き』なんじゃないの?
私は、陸の嫌なトコが見えたからって、陸に嫌なコトをされたからって、陸を好きでい続ける自信がある!
浮気されたぐらいで陸を嫌いになれる程、私の気持ちは小さくない」
「凄いね、リエルちゃんは…」
私は、リエルちゃんみたいに、強く誰かを想ったことがない。
いつも、自分が傷付くのが怖くて、実りそうにない恋は、さっさと諦めてきた。
逆を言えば、『簡単に諦められない恋』をしたことがない。
「私は、リエルちゃんみたいな人と恋のライバルになんて到底なれない…」
そこまで相手を想えないし、そこまで相手を想っている人と戦って、勝ち目があるとは思えない。
私は、可愛くもなければ、キレイでもない。
何の特徴もない、何の取り柄もない、何の―─
私のその一言に納得したのか良くわかないけど、リエルちゃんは
「そうですか」
っとにこっと笑い、再びメイク治しを始めた。
そして、コンコンっとドアをノックする音が。
「はいっ!」
リエルちゃんがドアを開けた。
「遅かったじゃない」
リエルちゃんがぷうっとほほを膨らませ、入って来たまぁ先輩と陸先輩に言った。
「悪い悪い。まぁの腹の調子が悪くて、トイレに籠ってたんだよ」
「えっ俺!?」
「もう、出すもん出してすっきりしたらしいから、心配ないってさ。なぁ、まぁ?」
「おぅ!って、違うだろっ!
しかも、これから飯食うって言うのに、下品なこと言うなよな」
「さぁさぁ、とりあえず座って座って。
陸たちが来るまでご飯食べないで待ってたんだから。
お腹すいちゃったよ、はやく食べよ?」
リエルちゃんは陸先輩の隣で、楽しそうにしている。
私はリエルちゃんと陸先輩を見るのが辛くて、二人を見ないよう、二人の声を聞かないよう必死だった。
そして、はやくお昼休みが終わることを願った―─