バンパイヤ-2
「聞きたいことがあれば、いいわよ。
隠し事がない方が、良いでしょ?」
「まだ、混乱していて、何から話せばよいのかよく分からないんだけど・・・・・
不死身って、もしかしたら君は何千年も生きているの?」
「そうね。2千年位かしら。」
「もしかして、邪馬台国の女王って君?」
「よく知ってるわね?」
「知ってるよ。日本の歴史上、最も有名な女帝だもの。
ところで君って血を吸わないよね?
バンパイヤに対する世間の常識ってどうなんだろう?」
「正しい部分も有るわね。
血は好物だけど、それをすれば伝染するのよ。血を吸えば相手もバンパイヤになるし、その中から本当に不死身になる人も出てしまう。
単純なことなのよ。毎日、血をすったらどうなると思う?
今日は2人、明日は4人、明後日は8人とねずみ講式に増えるのよ。
10年もすれば、バンパイヤの方が多くなるじゃない。できるはずないわ。
それから私に弱点なんてないのよ。毎日、太陽を浴びているでしょ?
エスキモーだって、南の島で一日、日光浴をすれば焼けどで死ぬわ。
私だって同じ、日焼け止めがいる程度のものなのよ。
にんにくは嫌いだけど、にんにくの口臭を好きな人なんていないわ。
十字架だってそう、街を歩けば幾つものクロスに囲まれているのよ。
きっとキリスト教徒が作った迷信でしょ。」
「なるほど、興味深い話だな。」
「ところで、どうして僕と結婚してくれたのかな?
君ならどんな生活でも手に入れられるだろう。世界征服だってできそうだ。」
「そんなことに興味はないの。邪馬台国では祭り上げられたけど、窮屈ったらなかったわ。若気の至りね?あなたと居れば楽しいし、ほのぼのしていて安心するのよ。」
「それを聞いて安心したよ。」
「私からも質問して良い?」
「どうぞ。」
「私が怖くない?」
「君が怖い? そんなことならバンパイヤだって知る前から怖かったよ。
僕は、君の笑顔だけが生きがいなんだ。
君がご機嫌斜めになることが一番怖いよ。
君がバンパイヤであってもなくてもそれは変わらないね。」
「あははは、だからあなたが良いのよ。
そうだ、あなたもバンパイヤになりたい?不死身になれるわよ?」
「考えたこともなかったな。不死身になっても君はずっと傍に居てくれるのかい?」
「そうね、何千年も一緒にいれば、幾らあなたでも退屈すると思うわ。」
「じゃあ、僕はいい。君に愛想を尽かされる前に死んだ方がいいよ。」
「そんなことよりさ。ちょっとあそこへ寄ってかない?」
「え、どこ?」
「あそこのホテル。」
「バカ!」
終