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『愛を映す、君を愛す』
【学園物 官能小説】

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『愛を写す、君を愛すF』-2

「ところで、山本さんのカレシって誰なの?」
少し時間が経って落ち着いたこともあり、僕は山本ユリカのカレシが誰なのかが気になり始めた。
「え…?」
体育座りをしている山本ユリカはモジモジとする。
「え?じゃねぇよ。カレシ、誰?」
今度は僕が詰問する。
「私のことは別によくない?」
「良くない。俺が言って山本さんが言わないのが気にくわない。」
山本ユリカははぐらかそうとしたが、それでも僕は引かない。
はっきりいって、山本ユリカにカレシがいること自体が未だに信じられないし、
何か嫌に感じていた。

長い沈黙の後、山本ユリカはポツリと答えた。
「…………………アキト…。」
僕はよく聞き取れずに「誰?」と聞き返す。
「関谷アキト。」
「関谷ってあの関谷?」
関谷アキトは寡黙であまり人とは話さないタイプのクラスメイトだ。
成績はいつも僕より上で僕は密かにライバル視していた。
「誰にも言わないでね?」
山本ユリカはモジモジしながら言った。
「言わないし、言うやついねーよ。」
僕が言うと、 この言葉に安心したらしく、山本ユリカは関谷アキトと自分のことをペラペラと話し出した。
女はやっぱり恋バナというものが好きなのだろうと実感する。
山本ユリカの話は止まる気配がなく、ずっと聞かされている僕の身にもなってほしいほどだった。

「アキトとはね、中学校から一緒で付き合って3年になるの。」

「アキトは将来映画監督を目指してて、私が女優としてアキトの映画に出演するのが2人の夢なんだ。」

「アキトは映画監督はいろんなコトやモノを知ってなきゃって言ってて、学年もいつも1番なんだよ。」

山本ユリカのお惚気話は止まらず、僕はだんだんとうんざりしてきた。
と同時に、何か面白くなくてイライラし始めてしまった。
そんな僕の気持ちも知らずに、山本ユリカは僕の苛立ちを更にあげる言葉を発した。

「実は、アキトとから大久保の写真のこと聞いたの。」

その一言を聞いて、僕はコメカミ付近ががヒクッとしたのを感じた。

「アキトがね、大久保に写真撮ってもらったらいいって言い出したの。」

「アキトも私もいつも雑誌楽しみにしてたんだよ。」

「アキトはね、大久保のこと頭いいのにカメラもできるなんてスゴイって言ってたよ。」


アキトアキトアキトアキトアキトアキトアキトアキト
アキトアキトアキトアキトアキトアキトアキト


何度、関谷アキトの名前を聞いたか忘れてしまった。
ただこれ以上そいつの名前は聞きたくなくなったし、
僕の苛立ちは最高潮に達しそうになっていた。

「関谷のことはわかったからさ、とりあえず写真撮ってみる?」
僕はもう話も聞きたくないこともあり、本来の事柄に話題を戻す。
この苛立ちをなんとか断ち切ろうとする。


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