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『死をもって君に快楽を与える』
【ファンタジー 官能小説】

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『死をもって君に快楽を与えるB』-1

私は陸上部に所属している。
種目は長距離。
他人からよくそんな種目を選考するねと言われるが、私は好き。
景色を見ながら走るのは楽しいし、自分を追い込むのも辛いけど楽しい。
何より、完走した後は息苦しいけど、達成感と生きているって実感できることがいい。

私は陸上部がゆえに胸もないし、女性らしい体型ではない。
唯一、悪あがきで髪を肩ぐらいまで伸ばしていても、女らしさはない。
どちらかといえば、あの死神の容姿ほうが女性的かもしれない。

「おーい!!藤原!!ストレッチは終わったかー?」
遠くでカラーコーンを並べている先輩から声をかけられて、
私は何も答えずに手だけあげる。
「おっけ!!じゃぁ、ならしでとりあえず1キロを3セットなー!!」
私は今日のメニューを聞いて立ち上がり、スタート位置につく。
可愛らしいマネージャーが寄ってきて、ストップウォッチをスタートさせた。

走っているときは何も考えていない。
ひたすら前を目指すだけで無の境地というものが続く。
こんな時間は普段の生活ではあまりない。
顕在意識がストップするこの時間は、私にとって心地いい。

そろそろ1セット終わるという時に、ひとりの先輩が私を抜いた。

私を抜いた先輩の名は佐藤翔太。
彼も長距離をやっていて、その足の速さは全国クラスで
私は密かに憧れている。
そして、私は彼のことが好きだ。
半年前に部室で先輩からキスをさせたことがあるが、
その後は何事もなくただ部活動を共にするだけの日々が続いてる。
先輩はどういうつもりで私にキスをしたのかわからない。
ただ、誰にも言ってない、言うつもりのない気持ちは、
日に日に増してしまい、彼をつい目で追ってしまう自分がいるのは確かだ。

私が2セット目を始めて半分くらいが過ぎた頃、
先輩は休憩中らしく、マネージャーと楽しげに話していた。
マネジャーは絶対先輩のことが好きなんだと思う。
私が触ったことのない先輩に自然と触れているのが見える。
こういう場面を見ると、私の胸はチクッとする。
死神は私のこと可愛いといってくれたけど、
男はやっぱり可愛い女の子が好きなのかもしれない。
死神の目はどうかしている。私はちっとも可愛くない。


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