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『死をもって君に快楽を与える』
【ファンタジー 官能小説】

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『死をもって君に快楽を与えるA』-1

あの日から数日。
私は明日に控えている試験の勉強をしていると、窓からコツコツと物音がした。

「っ!!!!!!」
窓を見ると頭蓋骨が浮いていて、私は声にならない悲鳴をあげた。
と同時に、先日のこととシチュエーションが似ているため、すぐに誰の仕業か気がついた。

私は窓を開けながら「驚かさないで!!」とその誰かに悪態をつく。

「これは失敬。」
その誰か、死神はニコリと笑顔で私の悪態をやり過ごす。

「ごきげんいかがですか?」
「いきなり頭蓋骨見せられて気分がいい人なんているわけ?」
私は更に悪態をつく。

「それはそれは失礼しました。
頭蓋骨マスク着用は死神規則で決まってましてね。
基本的に着用して仕事しなくてはならなくて…。」
と死神は頭蓋骨マスクをガコっと外して、 私に素顔を見せる。
死神は肌が白く、日本人というよりは西洋人に近い顔立ちで二重でややつあがった目が印象的である。
不覚にも私が見つめてしまっていると死神がクスリと笑った。

「…そんなに私の顔が変なのでしょうか?」
「いや、変というか…あんたってキレイな顔してるよね」
私は正直に答えた。
「それはそうですよ。キレイでなくては仕事がやってゆけませんから。」
クスクスと笑いながら死神は答えた。
「基本的には人間がもつ死神像通りの格好で仕事をしていますが、
時にはあまりの恐怖に駄々をこねる方もでてきてしまいましてね、
そんな時に素顔を見せて落ち着かせるのですよ。
これで野獣のような顔でしたら仕事がさらにやりにくくなってしまうので、
キレイな顔つきをしているのです。」
「つまり安心感やらギャップやらかっこよさで相手を惑わせてあの世まで連れてっちゃうんだ?」
「ま、簡単にいうとそうですね。」
死神はニコリとする。

「…で、今日は何しにきたの?」
「ハイ★今日は遊びに★」
死神はテンション高く答える。
「遊びに★って………おかしいでしょ?」
「そうですか?本日の仕事はさっさと終わらせてきましたので★」
「さっさと…って…?」
「いや、言葉の通りコレでひとかきです。」
と死神は言って、羽織っていたマントから鎌をだした。
私はその切れ味が良さそうな鎌をみて体がすくんだ。
「ひとかきなんだ?」なんとか会話を続ける。
「そう。本来はこれでひとかきで終わりなのですが、
私の気分が向いた時はセックスで快楽を感じさせながら、あちら世界につれてゆくのですよ。
私の与える快感には鎌でひとかきと同じ効果がありますからね。」
そこまで聞いて、どんなに人間らしくても目の前にいるのは死神なんだと実感する。

気がつくと、死神は私との距離をつめていて、
私の顎に手をかけ誘ったような眼差しで見つめてきた。
「なっなに?」
「いえ、あんまりにも可愛らしいのでキスでもしようかと思いまして」 
真ん前にいる死神は真面目に答える。
「私はあなたのことが大変気に入ってしまって、本来であれば、
死亡予定者の前にしか表れないのですが、あなたにはどうしてもお会いしたくなりましてね…」と死神は言い、
続けて「…先日、確かに死神台帳にあなたは記載されていた…その謎も気になりますし…」
と言っていたがぼそぼそと話していたので、私はよく聞き取ることができなかった。

「…とにかく、私はあなたの顔が見たかったのです。」
死神は仕切り直したかのように私に迫る。


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