『死をもって君に快楽を与えるA』-2
チュ…
「んっ……」
死神のキスは初めは軽くふれるかふれないかくらいで、次第に深くなっていった。
クチャ……
「は……、あ……」
私は体の力が抜けてしまい、死神が私のことを抱きしめる。
クチュ…
「ん………、っ……」
死神はゆっくりと唇をはなし「……可愛い」とつぶやいた。
「あなたのその顔が忘れられなくなってしまいましたよ。こんなこと初めてです…」
死神は切なそうに私を見つめてくる。
しかし、 私は何がなんだかわからないほど思考が停止し、体がほてってしまった。
「本当はあなたとセックスがしたいところですが…」
私はなんとか死神の言うことを聞き取る。
「…今日のところは我慢しておきます。」
「あなたにはこれからもお会いしたいですからね。」
そう言って、死神は微笑んだ。
「今日は帰ることにします。」
死神は私の体をパッとはなし、私に背を向けた。
「まって。」と私は咄嗟に声をかける。
「良かったら、コーヒー飲んでいかない?」
私は昔のトレンディドラマのような誘い方をする。
「コオヒィ?」
コーヒーというものを知らないらしく、死神は不思議そうな顔をした。
「そ。おいしいコーヒー。私があんたのためにいれてあげる。」
私がそう言うと、死神はニッコリ笑った。