ENDS-7
「可哀想に、あんたにあんなに惚れちゃって。好きの気持ちが大っきいほど離れた時に心が痛くなんの」
もう少し、もう少し。
そう思って3カ月が経ってしまったのか。
「姫代は…オレを好きじゃないかもしれないじゃん」
「正気?私にあんなに必死だったのは、自分が好きな人を私にどうしても伝えておきたかったんだよ。
あの子の必死な姿見てたら否定し続けるなんて出来ないよ…」
そんなの言われなくても知ってる。
日に日にオレと姫代の気持ちが重なってくのが嬉しくて、オレはここまで来ちゃったんだから。
「それなら尚更、姫代と一緒にいたい」
一緒にいれたらどんなにいいか。
姫代の寝顔を見ながら、オレにも明日が来いと祈ったことは少なくない。
共におじいちゃん、おばあちゃんになれたらどんなに幸せか。
「私もこんなこと言いたくないよ。でも私はあんたよりも姫代が大切なの。姫代に幸せになって欲しいの」
オレだって幸せになりてぇよ。
「あんたは…あんたと姫代、どっちが大切なの?」
「おまたせー♪スパゲッティだよ!みんな好きですよね…あれ?」
空気を割るような明るい声がした。
声の主は皿が四つ乗った大きなお盆をかかえて首を傾げていた。
「朝希どうしたの?目…涙」
「あぁ、欠伸しただけ」
朝希ちゃんは何事も無かったように平然と答える。
この話は、姫代は知らなくていい。
「あ、まさか有介がいじめたんじゃないですよね?」
「まさか。オレ女の子には超優しいし♪」
パッと手を広げておどけて見せた。
「え〜…タマさん、本当ですか?」
「え!?あっうん!あ、全然!全然仲良し!」
下手だな、タマくんは。
「あー、すっごい動揺してるじゃないですか!」
そう言って笑う姫代。
君にはいつまでも笑っていて欲しい。
だからオレがその笑顔を守るよ。