海螢(久美子の場合)-7
あっ…
熱さと痛みが、皮膚から体全体に心地よく拡がる。性器の中の空洞に、その痛みとともに何かが
充たされるように流れ込み、新たな疼きを呼ぶ。もっと、もっと充たされるものが欲しかった。
自分の中にある虚ろな寂しさを拭い去ってくれるような疼きを、体が欲しがっていた。
ふと、あの男と写真の中の縛られた女が、久美子を夢の中へと導いているような気がした…。
淡い蝋燭の灯りの中で、ぼうっとした点になったウミホタルの青白い光が揺らめいていた。
どこか身震いするほど深い光は、あの男の瞳の奥の光だったのかもしれない。淡い光はその暗闇
と混ざり合い、まるで蝋燭が溶けだすように妖しく霞んでくる。
ここは一体どこなのだろう…身動きができなかった。久美子の体をうしろ手に縛っている縄が腕
に強く喰い込む。胸元からすそ野を広げるようにぷるりとこぼれた豊かな乳房は、痛々しく搾り
上げられるように幾重にも縄が絡み、ぶるぶると波を打っている。
そして、花の中の可憐な蕾のような桜色の乳首は、苦しげに喘ぎながらも尖り始めていた。
あの男が傍にいた…。
突然、あの男の掌が久美子の乳房を揉むように掬いあげる。黒い縄が喰い緊める餅のような肌が
男の掌に吸いつき、ぷるぷると震えていた。胸の微かな鼓動が、久美子の中の血流を妖しく脈打
たせ始めていた。
ウミホタルの光の中からとろとろと溶けた赤い熱蝋が、弾けるようにポタポタと乳房に滴り始め
る。そして淡い灯りの中で、まるで血のように細い筋を白い肌に描きながら流れる。
うっ…
闇の中で久美子は呻いた。次々と滴る蝋涙が、雪白の肌に幾筋もの模様を描き、朱色の蚯蚓のよ
うに乳首にまとわりつく。灼熱の痛みが体全体に拡がると、久美子は弓なりにのけ反るように
悶える。
まだふわふわとした可憐な乳首を歯で噛まれるような痛みが、皮膚の穴にまで深く滲み入る。
凍てついた陰部の中の襞が、蕩けるような生あたたかい汁で充たされ、欲情の疼きが子宮まで
激しく這い上がってくるようだった。
郵便局にあの男があらわれた日の夜、久美子は必ずその夢を見た。
股間にくぐらされた縦縄…その割り裂かれた性器にかざされるあの男が手にした蝋燭…
熱蝋がウミホタルの光と重なり、股間を乱舞し、白くむっちりとした腿を襲う。すっと炎が揺ら
ぎ、その熱蝋は靡いた陰毛を絡めながら縄の喰い込んだ秘裂に滴る。その痛みの快感に、陰部の
襞がひたひたと痺れるような痙攣を始める。
やがて気が遠くなるくらい性器の中の襞が激しく渦を巻き始めると、久美子は夢の中で一気に
登りつめて果てることさえあった。