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『Summer Night's Dream』
【青春 恋愛小説】

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『Summer Night's Dream』その5-7

「へー。さくらちゃんって倹約家なんだ」


さも感心したかのように孝文が大仰に頷いた。
それをさくらが首を振って否定する。


「ううん、そんなんじゃないの。ただ癖になってるだけ」


……さっきも言ったが、さくらは普通の学生じゃない。
金持ちのお嬢様だ。
本来なら、バスにも電車にも乗る必要はないだろうに。
部長の言っていた疑念が、耳をかすめた。


「それよりもほら、話があるって言ってたでしょう」


さくらがそう言って、両手を合わせた。


「ああ、そうだな。聞かせてくれよ」


「うん、あのね……」


と言って、少し思洵するような素振りを見せ、陽介の方をチラッと見た。


「……日向くん。私、あなたとどこかで会ったことあるのかしら?」


「は?」


意味が分からなかった。
たまにこの子は、本気で訳の分からない事を言う。


「どういうこと?」


「夢の中に、あなたが出てきたのよ」


思わず目を丸くした孝文と視線を交わす。
おそらく、陽介も同じような顔をしていたと思う。
情けないくらいのマヌケ面がこっちを見ていた。

そして、マヌケ面が親の敵でも見つけたかのような目つきで睨んできた。
意外と迫力があった。


「……陽介、てめぇ」


「な、なんだよ?」


「やっぱりそういう関係だったんじゃねえか……」


空気を読め。


「さくら、詳しい内容を」


「うん」


夢の中に自分が出てきたのは陽介にしても疑問が残ったが、さくらの夢は非常にリアルで鮮明なものだと前に聞いたことがある。彼女の思い違いとは考えにくい。

そしてさくらが夢の内容を一通り話し終えた所で、陽介は要点をまとめてみた。


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